農業の特殊性にも驚いた

前回は非営利法人の利益の考え方に驚いたという話について書きましたが、もう一つ、別の方から聞かされて驚いたのは農業という事業の特殊性ですね。創る会に農業を営まれる法人の代表者さんが居られて、あまり顧客の方に意識が向いてないようだったので、突っ込んで聞いてみると、「採れたお米は全量買い取りなので・・・」とのこと。

たしかに「農業は国に守られている」とか「農業は補助金漬け」とか巷で言われているのは耳にするので、私たちのようなシンプルなビジネスモデルとは全然違うのだろうなと思っていましたが、聞いてみるとやはり全然違いました。

米作だと各地域にあるJAという存在がとにかく大きいようで、JAが概算金という単価で米作事業者から米を一旦買い取り、市場で米を売り払ってから、概算金との差額を清算金として、翌年度以降に農業従事者に還付するという形で取引するそうです。複数年度に渡って売上が立つ形なのでわかりにくいですが、市場相場を予測して、やや無難ながらも概算金としてすぐに作物を買い取ってくれる点で、JAは非常にありがたい存在なんだなとわかりました。

ただJAが相場価格を形成しているわけではなく、JAも市場で売り払うことで売上が確定するところを見ると、JAもひとつの卸売業として機能しているようです。JAという巨大組織が間に入っているので見えにくくなっていますが、結局は米作事業者の出荷した米も米市場を通して最終消費者の手に渡っていくわけで、そう考えると「全量買い取りだから」と安穏とするのではなく、最終消費者に喜ばれる米作りを目指さないといけないのではないかと素人考えで思うのですが。

でもさらに状況を複雑にしているのが国の食糧自給政策と水田政策で、国民の主要なエネルギー源である米は国の農産品の中でも最重要管理品目になっているそうで、国が生産量をコントロールしていると。そして儲からないということで米作事業者があまりに減ってしまうと困るので、助成金なども交付して、米作事業者の所得を助けてもいるようです。

「なんか公務員のような感じなのですよね」と仰っていた言葉がとても印象的でした。聞けば聞くほど公務員っぽい。でも民間事業者なので、もう少し厳密にいえば、国から米作の業務委託を受けた米作事業者という感じがしました。

経営者勉強会の場で政治の議論をしても仕方がありませんが、そういった外部環境の中で米作事業者としてはどんな理念やビジョンを掲げて経営していくのが正しいのか、本当に答えがわかりません。ただただそういうルールで動いている業界があると知れたのは貴重な経験でした。