ウェブサーバーを移転したい

ウェブサーバーを移転したいというお話はかなり頻繁にいただきます。今のサーバー費用が高すぎるとか、サーバーが重いとか、前の業者さんと合わないので変えたいなど、理由は様々です。ただ、いざウェブサーバーを移転しようとすると、いくつか厄介な問題があります。

まずドメインの問題があります。
本来はお客様の方でドメインを管理しておくべきだと思いますが、諸処の都合でWEB制作会社が代行管理しているケースは多いと思います。その場合にウェブサーバーを移転しようとすると、以前のWEB制作会社様にDNS設定をしてもらう必要があります。DNSの意味がわかりにくいかもしれませんが、要は該当のドメインでどのサーバーを利用するかを決めておくデータベースだと思ってください。DNSさえ変更すれば、該当のドメインで使用するサーバーは自由に変更できるのですが、DNS変更はドメインの管理者しかできないので、以前のWEB制作会社様に協力を仰がねばならないのです。もしDNS変更が難しい場合は、ドメイン管理者を自社か、信頼できるWEB制作会社に移してしまうという方法もあります。

次にウェブサーバ(ウェブホスティング)です。
HTML/CSS/Javascriptなど、クライアントサイドで動作する技術のみで作られているウェブサイトであれば、移転前のウェブサーバに入っているデータを全てダウンロードし、移転予定のウェブサーバーにアップロードすれば、基本的には移転完了です。問題はPerl/PHP/Ruby/Pythonなど、サーバーサイドで動作する技術を用いて作られているウェブサイトです。これらはサーバー側で動作するソフトウェアの力を借りて動くものですので、それらと互換性のあるウェブサーバーを用意しないと一向に動いてくれません。またMySQLやPostgreSQLなどのデータベースを使っているウェブサイトも多く、その場合にはデータベースの移動も必要になってきます。最近のCMSはほとんどがPHP/MySQLで作られたシステムですので、これらを移転するのはなかなか容易ではありません。

さらにメールサーバ(メールホスティング)です。
電子メールサービスがウェブサービスと切り離してサービス提供されている場合は良いのですが、そうでない場合はウェブサーバの移転と同時に、メールサーバの移転も考えないといけなくなります。メールサーバー移転は、新メールサーバーに現在使っているメールアカウントを作り、各人のクライアントPCに新しいメールアカウント設定をしたうえで、メールサーバの変更をDNSで行います。DNS変更後、徐々にメールが新しいメールアカウントに届くようになりますので、1週間程度経過してから以前のメールアカウントを削除します。お使いのメールソフトによって操作方法が異なりますので、意外に手間取る作業です。

聞いているだけでも大変な話だと思いますが、実際にやってみると本当に大変です。結局、誰かが要した労力はコストとなって跳ね返りますので、わずかな金額を節約するために、余計に費用がかかることもあるかもしれません。

サーバー移転コストが一番少ないと思われるのは、ウェブサイトのリニューアル時です。ドメインとメールサーバ(メールホスティング)の問題はやはり考慮しなくてはなりませんが、ウェブサーバの互換性やデータベース移動については気にしなくて済みます。ウェブサイトをリニューアルするときは、ウェブサーバの移転についても、一緒に考えてみてください。