経営者の仕事をしていない

今週は経営者勉強会の多い週でした。そんな勉強会の1つで、いつも熱心に勉強会に参加しておられる40代前半の若い経営者さんの発表があったので聞いてきました。よく顔を合わせる方で、何度か懇親会でお話ししたこともあったのですが、会社や事業の話を詳しく聞く機会はなかったので、楽しみにしていました。

一従業員という立場から経営者候補になり、遂に経営者になるプロセスを淀みなく丁寧に話してくださって、その方の今に至る道程がよくわかったのですが、聞いていてなんだか物足りない気持ちになりました。参加されていた皆さんも同じだったようで質問が噴出。なかなかのサンドバック状態で、見ていて少し気の毒でした。

同友会の経営指針を創る会で、私もこんなサンドバック状態なんだろうなと、寒い思いをしながら、自分が物足りないと感じた理由は何だろうと考えていたのですが、おそらく発表の中で「理念やビジョンが見えなかった」からだろうなと思いました。

その方を個人的にも深く知りたいと思っていましたので、個人のプロフィールを知るという意味ではとても有意義な機会だったのですが、それはそれとして、この場は経営者勉強会ですから、経営者になって会社の使命や未来像をどのように考え、どのように実行してきたか、何にぶつかっているかという点をやはり聞きたいわけです。個人としての話と会社としての話はまた別物ですので。

二代目経営者さんなので、先代が作ったミッションやビジョンはあったのですが、代も変わって、時代も変わっているわけですから、ミッションやビジョンの再検討はあってもよいわけです。でもそれが無かった。さらっと流されたので、その点で経営の芯が見えず、場当たり的な苦労話ばかりを聞かされて、皆さんモヤモヤされていたように見えました。私も物足りなく感じました。

極論を言ってしまえば、個人のヒストリーなんてどうでもいいわけです。会社経営者として、会社や事業を取り巻く現状を踏まえつつ、会社の意志として使命と未来像を宣言し、その進捗や課題を話してくれないと、自分の経営の参考にならないわけです。個人のヒストリーは懇親会に聞いてみようかな程度の話です。

私も経営発表こそしたことはないですが、勉強会の場で「経営者としての仕事をしていない」と頻繁に言われます。振り返ってみると、私も個人の話ばかりしていて、会社としてどうあるべきか、どうしていくか、という話を避けていました。経営者という面倒な仕事を個人としてはちゃんと頑張っているんだよと、そればかり周りにアピールしていたような気がします。とはいえ、覚悟の決まった経営者たちからすれば、「言いたいことはわかったけど、それでどうしたいん?」という感じなんですよね。

勘違いで創業し、目の前の仕事をただただこなしていたら19年過ぎていた、、という私には全くなかった視点ですが、経営者の本当の仕事は未来を企画し、集団を指揮する仕事のようです。なんとなく受け身で中途半端にやっていたというのはありますが、意図して成文化してやったことは無かったです。という意味では経営者の仕事をしていないってことになりますね。

長く実務をやってきて、そっちの方面は何とかする自信はあるのですが、「未来を企画し、集団を指揮する」は全くやっていない。昔は理想家だったのですが、今の自分に未来を企画する力が残っているかな、、と弱気にもなりますが、そんなことを言っている場合ではないですね。自分が一人きりになる時までは、みんなのためにも持てる力を出すのみです。

・・・というわけで、いろいろと考えさせられる勉強会でした。私の現在地を客観的に知る良い機会になったと思います。直球の意見が飛び交う心の折れそうな勉強会でしたが、とても健全な場だったと思います。本当にありがとうございました。

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